子どもの虐待 ~コントロールできない怒り、衝動はどこからくるのか?
- miross lab
- 2019年6月7日
- 読了時間: 6分
更新日:2019年7月6日
このところ、子どもの虐待事件や、家族間の悲しいニュースがあとを絶ちません。 「なぜ我が子にそんな事ができるのか?」と思いますが、実は本人もやめたくても止められない怒りや感情に苦しんでいるのす。彼女もその一人でした。息子に酷い言葉を吐き続け、そんな自分が嫌でしたが止められなかったのです。
彼女は、ミロスに出合いどう変わったのでしょうか。

『子どもの虐待~コントロールできない怒り、衝動はどこからくるのか?』
▢Yさん 50代 女性【愛知県】
私には3人の息子がいます。 自分の子どもはかわいくて仕方ないだろうと思っていましたが、
なぜか長男には生まれて間もない頃から疎ましさを感じていました。
慣れない育児に疲れ、子どもを産んだことを後悔し出した私は、自分の怒りがこの子だけに向かうと、いつか殺してしまうのではないかと悩み、怒りの分散ができるのでは?と思って2人の子どもを産みました。
しかし、3人の育児に加え、家事と仕事の両立は想像以上に大変。
次第に私は「子どもさえいなければ!」と強く思うようになりました。
長男が5歳になった時、夫の両親と同居することになりました。 知り合いが一人もいない土地での慣れない生活。義父母との生活での気疲れ。 その上、夫は私の苦しみに向き合おうともしてくれません。
とうとう私の身体は動かなくなり、職場ではソファに横になりながら同僚に助けてもらい、
やっとの思いで仕事をしていました。
家に入るのがイヤで、駐車場に車を止めて1時間近くもその中にいたこともありました。 夫とは口もきかなくなり、子どもが寝静まってから、深夜まで営業している書店に行き真夜中に帰るという日々。出口のない大きなゴム風船の中で、外に出ようともがき続けているような気持ちで目の前は真っ暗でした。
全てを捨てて逃げたい!でも子どもを置いてはいけない。 そんな中、夫への怒りはピークに達し、その怒りは長男へと向かいました。
「子どもなんか産むんじゃなかった!」 「お前が生まれてこなければ!」 「子どもなんかいらない!」
本当にひどい言葉を長男に浴びせ続けていました。6歳前後の子どもにです。
環境が変わって一番大変な思いをしていたのはこの子なのに… 私には彼の心の内を考える余裕などありませんでした。
「苦しい…つらい…」
その原因は、夫であり、子どもでした。 「私は悪くない」「私はかわいそう」 「私以外のみんなが悪い」ずーっとそう思い続けていました。
その反面、何年も何年も子どもを罵りつづけている、そんな自分がたまらなく嫌でした。
なんとかしたくて心理学を学ぶ講座にも行きました。でも何も変わりませんでした。
イヤなのに、やめたいのに、
長男を見るとひどい言葉が口からほとばしり出て止められないのです。
心優しい長男は黙って耐えていました。
そんな彼は中学生になると先輩からいじめられるようになりました。 何をやっても自信がなく、学校行事でも部活でも、あと少しでいいところという時に必ずアクシデントが起き、つまづくのです。
仕事をするようになってからは、お金を騙し取られることもありました。
仕事をするようになってからは、お金を騙し取られることもありました。
その姿を見ると、また怒りがわいてしまう…どうして?
何故この子はこんな残念な人生を送るのだろう? 何故こんなにもこの子に怒りが止まらないのだろう?
そう思っていた時、友人を通じてミロスを知りました。
「目の前に見ているものは、鏡に映し出されたもう一人の自分だよ」
「そこに感じるものは自分自身への思いなんだよ」
という講師の言葉を聞いて
「えー、そんなバカな…」 じゃあ私は「お前なんかいなければいいのに!」って、
ずっと自分に向かって言い続けていたの?
私は私のことがこんなにも嫌いで、しかも生まれてこなければよかったとまで思っていたなんて…初めて私は自分のことを全否定し、いじめぬいて生きてきたことを知ったのです。
もう全身の力が抜けてしまいました。
「あの子は何も悪くはなかったんだ!」 そう気づいたら、不思議なことに長男への怒りも消えていました。
でも、疑問だったのは、「なぜ私は、これほどまでに自分を否定して生きていたのだろう」ということでした。私はミロスのシステムにあてはめ、今までの人生を紐解くことで、その答えがくっきりと見えてきたのです。
私は、祖父母の時代から商売を営む家に長女として生まれました。
最初の子どもということでとても喜ばれ大事にされましたが、一つ下に弟が生まれると、母はそっちにかかりきりになり、実質、私は同居していた祖母に育てられたのです。
祖母は私のことを可愛がってくれましたが、「女だから家の手伝いをしなさい」と言われるようになり、小さな頃から店番をさせられました。 私は、外で自由に遊びまわる弟たちを見て、いつも羨ましく思っていたのです。
祖母には「女だからこうしなさい」と言われるたびに、「なんて女は損なんだ」
「男はずるい!どうして女には自由はないの?」と思うようになったのです。
祖母は、ことあるごとに「女は学はいらない。男に黙ってついていけ」
「早く結婚して、男に愛されて幸せになりなさい」と言っていました。 でも、祖母を見ても、母を見ても不自由で、幸せそうには見えません。
やがて私は、「女だから」のひと言で自由がなくなることに、もの凄く反発を覚え、
男と同じような仕事をして給料も得られるような地位に着こうと思い教員になりました。
しかし、育児、家事、仕事の両立はどんどん難しくなるばかり。
「私だけが損している」
こんなに頑張っているのに「女だから」認められない。
どうせ、私なんか…生まれてくるんじゃなかった…
確かに私は、
「女は価値がない」「どうせ、私なんて・・・」と自分を全否定して生きていました。
しかし、ミロスでわかったのは、それだけではありませんでした。
その自己否定は私だけが感じていただけではなく、先祖代々、男尊女卑的な思想の中で、
女性たちが心の奥に抑圧した苦しみや怒りだったのです。
脈々と私の中に流れていた男に対する復讐心が、コントロールできない感情となり、
弱い立場にある長男に噴き出していたとシステムではっきり理解できたのです。
さらに、祖父や父の生い立ちから、報われない人生を送ってきた男性たちの想いまでもが理解でき、今までに感じたことのない安堵感が体の奥の方からこみあげてきたのです。
それ以来、長男を否定するようなこともなくなり、親子関係も変わってしまいました。 もちろん、自分のことも好きになり、本当に私は楽になりました。
ミロスを知らなければ、きっと今頃「私は悪くない!」「悪いのはあの人よ!」と
つらく苦しい怒りの中で人生を楽しむことすらできずにいたと思います。
世間で家族間の悲しい事件を見ると他人事とは思えません。
私もそうなっていたかもしれないからです。 私の体験が少しでも役に立ったらいいなと思いご報告させていただきます。
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